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トップページ>認知症を学ぶ>認知症の症状>まだら認知症とは?症状や原因、予防対策について解説します!

まだら認知症とは?症状や原因、予防対策について解説します!

「最近、記憶力が落ちてきた。」
「いつも出来ている事が出来ないことがある。」

もしかしたら、その症状は「まだら認知症」かもしれません。
まだら認知症は一般の認知症とは少し特徴も違い、

「これって認知症なのかな?」
「老化によるボケなんじゃないの?」

と見逃されやすい認知症の1つです。

そこで今回はまだら認知症を見逃さないために、まだら認知症の特徴から予防策まで細かくご紹介いたします。

  • まだら認知症の特徴
  • まだら認知症の症状
  • まだら認知症の原因とは
  • まだら認知症の予防策
  • まだら認知症がみられる病気
  • まだら認知症の対応

あなたやあなたのご家族が抱えているお悩み解決に役立てるために、ぜひ最後までお読みください。

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まだら認知症の特徴

まだら認知症

まだら認知症とは、認知症の症状がまだらに現れることを言います。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症といった認知症の種類ではなく、あくまで認知症の症状を言い表す言葉の一つです。

「最近の出来事がわからなくなってきて、記憶力の低下と同時進行で自分の周りの事の理解や判断が出来なくなっていく症状」
このような症状を想像しませんでしたか?
これは、アルツハイマー型認知症の症状の代表例です。

このように「認知症」といえば、アルツハイマー型認知症の症状をイメージされる方が多いのですが、まだら認知症の症状はアルツハイマー型認知症の症状とは大きく違います。

まだら認知症は記憶力が大幅に低下する一方で、理解力や判断力がはっきりしていることが多いという特徴を持っています。
物忘れは多いけれど、難しい計算や読書はいつも通り行うことが出来る場合が多いのです。

また、「今日出来たことが次の日に出来なくなっている」
逆に「今日出来ない事が次の日には出来るようになる」
というように、症状に波があるという特徴を持っており、血管性認知症の症状として多く見られます。

初期の場合は物忘れの程度もアルツハイマー型認知症よりも軽く、物忘れの自覚がある場合もあります。

このような特徴から「疲れているのかな?」「最近寝不足で物忘れがあるんだろう」と勘違いしてしまう人も多いので注意が必要です。

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まだら認知症の症状

まだら認知症
まだら認知症は症状に偏りがあることが一番の特徴です。
物忘れはひどいけれど理解力には問題ない、同じ事ができる時と出来ない時があるといった症状が特徴として見られます。

具体的には

  • 数分前に食事をした事を忘れてしまっているのに、難しい新聞を読み理解できている
  • 財布を片づけた場所を忘れているけれど、会話は正常に出来ている
  • 昼は自分で食事の用意が出来なかったのに、夕飯の時は出来ている
  • 昨晩の着替えは自分で出来なかったのに、今朝の着替えは問題なく出来ている

というような状況があります。

まだら認知症患者の家族は
「こんなに難しい新聞を毎日読めているのだから、認知症のはずはない」
「少し物忘れはひどくなってきているけれど、会話もおかしくないからただのボケだろう」
と考えてしまう事が多々あります。

また、同じ事が出来る時と出来ない時があるので「認知症かも?」と思った次の日には正常にいつも通りの生活を送っているという状況に混乱してしまう場合もよく見られます。

まだら認知症の進行

まだら認知症の進行

まだら認知症は、脳血管が詰まったり破れたりなどの脳血管障害が起こると発作を起こします。
そして、再度脳血管にダメージが加えられる度に、症状が階段状に進行していきます。

そのため、まだら認知症の進行を止めるためには、脳血管障害の再発を防止することが重要です。

原因となる脳梗塞や脳出血をしっかり予防することが、まだら認知症の治療方法とも言えます。

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まだら認知症の寿命は?

研究生存年数
Larson 2004 *1男性:4.2年 女性:5.7年
Xie 2008*2診断から4〜5年
北村立 2009 *3診断から5〜8年

まだら認知症に限らず、認知症全体で発症後の余命は、平均7~10年です。
ただし、上記の数字はあくまで研究時のデータに基づくものなので、絶対的な数字ではありません。

実際の生存年数は、年齢・基礎疾患・認知症のタイプによって大きく左右されます。

なお、認知症の各タイプにおける10年間の生存率について興味深いデータがあります。
以下は、1961年から実施されている「久山町研究」のデータです。

【各タイプの認知症発症から10年後の生存率】

アルツハイマー型認知症18.9%
レビー小体型認知症2.2%
血管性認知症13.2%

上記の生存率はあくまで研究時のものであり、絶対的な数字ではありません。
個人差も大きいのであくまで参考程度にしておきましょう。

*1:Larson EB, Shadlen MF, Wang L, McCormick WC, Bowen JD, Teri L, Kukull WA.「Survival after initial diagnosis of Alzheimer disease. Ann Intern Med.」
*2:Jing Xie, Carol Brayne, Fiona E Matthews, Medical Research Council Cognitive Function and Ageing Study collaborators.「Survival times in people with dementia: analysis from population based cohort study with 14 year follow-up」
*3:北村 立,細井 悦子,倉田 孝一「認知症診断後の生存期間について–石川県立高松病院での調査から」

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まだら認知症の原因とは

まだら認知症
まだら認知症の原因には「脳へのダメージ」「自律神経の乱れ」「脳の血流の変化」が挙げられます。
以下に、それぞれについて詳しくご紹介していきます。

脳へのダメージ

まだら認知症は実は、まだら認知症という正式名称ではありません。
脳血管性認知症の症状の1つになります。

脳血管が何らかの形でダメージを受けて、機能が低下してしまうことが原因となります。

脳血管は脳全体に行き渡っており、ダメージを受けた部分のみ機能の低下が見られます。
脳は部分によって役割や機能が異なっているため、ダメージを受ける箇所によって現れる症状が変わってきます

例えば、記憶を担っている部分の脳血管がダメージを受けた場合では記憶力は低下しますが、それ以外の機能に影響はありません。

このように症状が状態によってまだらに発生することから「まだら認知症」と呼ばれています。

自律神経の乱れ 

脳血管性認知症は、レビー小体型認知症やパーキンソン症状と併発することもあります。
レビー小体型認知症やパーキンソン症状では、自律神経が失調しやすいという特徴があります。

自律神経は血圧に大きく影響を与えますので、脳の血流にも影響があります。
自律神経の乱れによって脳の血流が悪くなると必要な血液供給ができなくなり、症状が悪化してしまいます。

特に、夕方や食後に症状の悪化が見られる場合があるため注意が必要となります。

脳の血流の変化

人間の血流は1日の中でも大きく変動しています。
よく「朝は低血圧で起きることが辛い」という人がいますが、これは朝の血圧が1日の中で最も低い状況だから生じる現象です。

基本的には、血圧は朝起きてから日中の活動に伴って上昇していきます。
そして、食事後や体温を下げるタイミングに一旦血圧は下がります。

血圧が下がってしまうと、脳への血流が滞りやすくなってしまいます。
そして脳血管内の血流が不足してしまうと脳の働きが低下します。

つまり、朝起きたタイミングや食事後などの脳への血流の流れが悪くなっている時間は認知症の症状も悪化することが多いということになります。

ちなみに、脳の血流の変化による症状悪化は脳血管性認知症以外のタイプの認知症においても見られる現象です。

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まだら認知症の予防対策

まだら認知症
認知症の中でも発見が難しいまだら認知症ですが、まだら認知症を予防する方法はいくつか存在します。

血圧をはかる 

まだら認知症の症状は、小さな脳梗塞が原因で起こる事が多いです。
さらにはその小さな脳梗塞の原因として高血圧による動脈硬化が見られる場合が多いことも判明しています。

高血圧による動脈硬化、さらには脳梗塞を起こさないために普段から血圧測定を行い、高血圧の状態を放置しないことが重要です。

もし、毎日続いて血圧の正常値を超える場合にはまずはかかりつけ医や近医に受診しましょう。

食生活を整える 

血圧の上昇を抑えるには、食生活の見直しも重要となります。
特に味の濃い外食には要注意です。

また、厚生労働省の研究によると牛乳などの乳製品を積極的に取ることによって脳卒中の予防に効果がある事がわかっています。

乳製品の摂取基準としては、1日に130mlの牛乳を摂取することで脳卒中リスクが低下します。
また、水分不足でも脳の血流が悪くなり、脳梗塞を起こしやすくなるため、水分は積極的に取るようにしましょう。

特に高齢になると、のどの渇きを感じにくくなり、水分の摂取量が少なくなりがちです。
1時間に1回は水分を取るなど、のどの渇きを感じる前に水分を充分に取るように心がけましょう。

禁煙、禁酒

タバコは百害あって一利なしと言う通り、動脈硬化も促進させます。
タバコを吸うことで、血管を収縮させることが動脈硬化リスクに繋がります。

また、酒は百薬の長という言葉もありますが、飲酒は過剰になると健康に悪影響を与えます。

少量の飲酒では、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクが低減するという報告もあります。
しかし、目安として1日に日本酒を3合以上飲むと血圧が上がって高血圧や虚血性心疾患の原因となってしまいます。

これらのリスクは、飲酒量が増えれば増えるほど高くなりますのでお酒の飲みすぎにも注意が必要です。

適度な運動

適度な運動には、血圧を低下させ血管への負担を下げる効果があります。
週に3回~4回程度、ウォーキングやジョギングなどの軽めの運動をオススメします。

ただし、高血圧の診断をすでに受けている方は医師に相談の上で運動に取り組んでください。

症状の変化を記録する 

もし、頭痛やめまいなど何か症状が見られた場合には症状の変化の記録も重要となります。

まだら認知症は発見が難しい認知症であるため少しでも「いつもと違う」「何かがおかしい」と感じた場合には、症状の変化を記録しておくと医師が判断する際の重要な資料となります。

まだら認知症がよくみられる病気

まだら認知症

まだら認知症は「脳血管性認知症」と「ラクナ梗塞」によく見られる症状です。

脳血管性認知症 

脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に並んで3大認知症と言われています。
脳血管性認知症は認知症全体の約20%を占め、男性に特に多くみられます。

また、脳血管性認知症の場合は他の認知症と違い突然症状が起こることが多いため注意が必要となります。
脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血によって脳の血管がダメージを負う事で起こります。

脳梗塞とは脳の血管が詰まり、脳の一部に血流が流れなくなる病気です。
また、脳出血とは脳の血管が破れそこから出血することで脳細胞が流れた血液に圧迫されてダメージを負う病気です。

これらは、高血圧などが原因でも起こりますが頭を強く打つなどの外傷が原因でも起こります。

他の認知症のように、徐々に認知症が進行していくのではなく突然症状が発症することもあるので家族など身近な人の混乱を招きやすい疾患でもあります。

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ラクナ梗塞

年齢を重ねていくと、MRI検査などでかなり多くの方に小さな脳梗塞が見つかります。
その多くは症状が無いため「隠れ脳梗塞」と呼ばれています。

隠れ脳梗塞の大半はラクナ梗塞という種類のものです。

ラクナ梗塞は脳の奥にある細い血管にできる直径15㎜未満の小さな脳梗塞の事を指します。
細い血管が塞がれるだけなので、ほとんどの場合は大きな血管が詰まった状態と同じ役割を担うことができます。

そのため、症状もなく治療も不要なことも多いのです。

一方で、ラクナ梗塞が増えてくると脳の活動へダメージを与える場合があります。

まだら認知症の症状が発症することもありますがラクナ梗塞の場合、なかなか気づきにくい事が多いです。
また、注意が必要な点があります。

ラクナ梗塞が起こった後に、重篤な脳梗塞が起こる場合があるという点です。
初めて脳梗塞を起こした人の3分の2以上がラクナ梗塞の既往歴があります。

また、ラクナ梗塞がある方の脳卒中リスクは、ない方の10倍以上という報告もあります。
ラクナ梗塞から、より重篤な病気にならないためにも、ラクナ梗塞に気づいた時点から予防に努める事が重要です。

ラクナ梗塞に気づく1つのきっかけとして、まだら認知症があります。
症状が軽い内から、何かおかしいと思った時点で病院へ受診して原因を突き止めるようにしましょう。

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まだら認知症の対応

まだら認知症
身近な人がまだら認知症になってしまったら最初は認知症なのか、ただの疲労なのか、他の病気なのか、なかなか判断が難しいと思います。

そこで、身近な人が何かおかしいと思った時点でできることについてご紹介いたします。

毎日の症状を記録する 

身近な人がまだら認知症かもしれないと感じたら、まずは毎日の症状を記録することが重要です。

特に、まだら認知症は毎日症状の波があります。
この症状の波も記録することで、症状が良い日の傾向や悪い日の出来事や気温などを把握することに繋がります。

もしかすると、処方されている薬の影響で症状が一時的に悪化していることなどもあるかもしれません。
毎日の記録を元に主治医と相談することで、より患者に合った治療を進めていくことができます。

あまり気にしすぎない

身近な人がまだら認知症になってしまったら、辛い気持ちにもなります。
また、今後の介護や金銭面で不安な気持ちにもなるでしょう。

しかし、認知症は基本的には根本治療は存在しません。

症状に振り回されず、どう対処したら一緒に暮らしていくことができるのかを考えていくことが大事です。

大切な人だからこそ自分自身を責めることもあるとは思います。
しかし、認知症は誰にでもなる可能性のある病気です。

自分自身を責めることなく、これからあなたとあなたの大事な方が快適に暮らしていくことができるように専門家を頼ってください。

早めに受診する

どの病気でも同じことが言えますが、まだら認知症では特に早期受診・早期治療が重要です。

まだら認知症は一見わかりにくい症状でただの疲労や寝不足と間違われやすいですが、さらに重篤化していったり、重度の脳梗塞を起こしたりする可能性もあります。

まずはなにかがおかしいと思った時点でかかりつけ医に相談し、検査をしてみましょう。

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まだら認知症についてのまとめ

まだら認知症
ここまで、まだら認知症の特徴や予防策を中心にお伝えしてきました。

  • まだら認知症は、記憶力の低下はあるが、理解力・判断力には問題がないことが多い
  • まだら認知症の原因は「脳へのダメージ」「自律神経の乱れ」「脳の血流の変化」
  • まだら認知症は、脳血管性疾患やラクナ梗塞によってよく見られる

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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